ある雨の降る夕方のことです。
ランが散歩に行った公園の原っぱで何かを見つけました。
母が近寄って見ると、段ボール箱の中で手のひらほどの小さな子猫が必死に鳴いていました。
まだ目も開いていない生まれたばかりの子猫でした。

白い猫が死んで、3ヵ月ほどたっていました。
母はもう二度と猫は飼わないと言っていました。
果たしてその母は、
この雨の中、
ひとりぼっちで、
必死に鳴き叫ぶ、
目も開かない、
手のひらほどの小ささの子猫を
ほったらかしにして、その場を立ち去ることができるでしょうか?


まんまと母はエプロンのポケットにその小さな子猫を入れて
持ち帰ってしまったそうです。
一人暮らしの私のところへ電話をかけて来ました。
「子猫拾ってきちゃった」
「えーー?猫はもう飼わないって言ってたじゃない!」
「だってランが見つけたんだもん!」
「見つけたのはランでも、拾って来たのはお母さんでしょ」

基本的にペットを飼うことに関して、あまり好意的でない父にも
同じことを言ったと思います。全く言い訳になってません。
それ以来、その話をするたびに、
「ランが見つけたから、仕方がなかった」
と言います。

ランはどう思っているのしょう。
ランはすっかり精神的に成長して、その小さな猫にストレスを感じることもなく、
先代の猫同様、優しく受け入れました。



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