私が中学二年のとき。ランは5〜6歳。
今思うと、まだまだ成犬全盛期の年齢でした。
私が久しぶりに昔の癖が発症しました。
猫を拾ってきたのです。
それは白くてちっちゃくてガラス細工のようでした。


やってきたその途端に、そのチッコイ生き物は ランの犬小屋を占拠し、
「なんなの?…これは…」と心配そう犬小屋をのぞき込むランに対し
全身の毛を逆立てて威嚇しました。
家主は自信なさそうに入り口に立ち往生。

犬ならばともかく猫なんて絶対ダメだと言い張っていた母。
ところがその母が子猫の魔力の虜になるのには ほんの1日を要しただけでした。
台所で洗い物をする母のスリッパの上で眠るだけで充分でした。
次は父。それには父の腕の中でちょっとうとうとするだけで。
そうしてその白い小さな小悪魔ちゃんはあっという間に家族の承認を得てしまったのです。

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