2003年6月
ママ鳥にはめられるの巻
カナダの西側をうろついていたときに、比較的縁があったのがKilldeerという日本のコチドリと似ている鳥でした。 川岸でも見たし、田畑のようなところや草原にもいました。 春には卵も見つけました。何の目隠しもない草原に無防備に卵は生んでありました。そこからやや離れた場所で侵入者である私を威嚇して声をあげる親鳥の姿が健気に思えました。 実は、鳥は私を威嚇していたわけではなくて、私の注意を巣から逸らしていたのでした。 まだ未熟だったのかな。卵と、おとりになっているその鳥の距離があまりに近くだったので、まるで「巣はココよ!」と示しているようでありました。。 後にこの鳥は「偽傷」行為で有名な鳥であることを知る機会に恵まれました。
初夏の頃、放牧地をぶらつきながら子馬の写真をとっていた私は、数十メートル先にKilldeerの親子らしきものを発見しました。野生の鳥のヒナなんて一度も見たこともなく、しかも遠くに見えるのはなんとも可愛らしいヒヨコのようなヒナなのであります。 私は夢中で近寄っていってしまいました。(目が悪いので仕方がない) しかし、ヒナたちの姿をこの目でしっかりと確認する手前で、親鳥がいきなり 「ピキーーーーーーッ」 と啼いたのです。 はっとして親鳥を見ると羽がグシャグシャで、いきなり複雑骨折したような状態になっているではありませんか。 複雑骨折状態のくせに、何気な〜くピョコピョコ移動していきます。 「あれ?あれ?あれ?どうしちゃったの?」 私は親鳥に釘付けになってくっついていきました。 すると、壊れていたはずの親鳥が何事もなくはらりと飛び去ってしまいました。 「あれ・・・・・?」 ↑私が見たのはこんなもんじゃなくて、「えええええ?」と思ってしまうほどに、 羽がぐっちゃぐっちゃのバッキボキに見えるくらい高度な「偽傷演技」だったのです。
親が姿を消して、やっとヒナのことを思い出し 慌ててヒナたちがいた方向を振り返ってみましたが、そこには人っ子一人残っておりませんでした。 ヒナがいたあたりを見て回っても何も見つけられませんでした。 せっかく可愛いベイビー達が見られるチャンスだったのにすごく残念でした。 親の名演技にも驚かされましたが、あのように幼いヒヨコがどのようにしてこの短時間に身をくらませるのかも私にとっては驚きの一つでした。
ヒナはりくりの綿玉のようなのに親と全く同じ模様なところがまた一段と可愛いの〜!
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