2003年8月

二匹の豚



二匹の豚は馬の入るストールの反対側、1メートルほど低くなっている場所で飼われています。扉を開けるとこんなかんじで豚さんたちが見えるかんじです。

3部屋に分かれている豚部屋は、馬糞や野菜の残飯の廃棄場所で、豚が畑で使われる肥料への変換を促進しています。一部屋にある程度コンポストが溜まると、豚は別の空の部屋に移動され、一杯になった部屋のコンポストは屋外に運ばれて、一冬じっくり熟成され良い肥料へと変換されます。そこでの毎日の豚への餌やり方法は、豚のいる掘り部屋に飛び降りて、鉄の棒でコンポストからなる地面に穴を掘り、そこへ穀物のミックスを埋めます。そうすると豚がその餌を食べようとして餌を埋めたところを掘り返すのですが、それがコンポストをよくかき混ぜ、新鮮な空気を送り込む仕組みとなって、発酵がより進むわけです。おとりの餌を撒いて、そこにひきつけておいて餌の穴を掘るのですが、グズグズしているとおとり餌を食べ終わった豚さんが足元に詰め寄ってくるので、まともに穴が掘れなくなります。
最初は「常に飢えた豚の肥溜め」に飛び降りるということで少々ビビリましたが、実際降りてみるとなんの悪臭もありません。養豚場に悪臭が立ち込めているのは、あまりに高密度で飼育されているためで、十分なスペースで飼われている豚は牛、馬、羊、ヤギのどんな家畜より臭いがない。餌を求めて硬い毛の生えた頭を摺り寄せてこられることにも慣れると、愛着も湧いてきました。安心できたのはここの豚君たちはまだ成長途中で中型犬ほどの大きさであったこと。あの大きな成豚となると、また勇気が要ることでしょうなぁ。