2004年3月

人なつっこさの是非

 

ラブラドールレトリバーがこれほど人間好きの性格であるということを私は今まで知りませんでした。犬はよく犬好きとそうでない人を見分けるといいます。先代の犬がそうでした。本当に犬が好きでない人間にはしっぽをふりません。ところがラブのアーニーは人間なら誰でもよいのです。100人例外なく、道中で腹をさらけ出し、撫でてもらおうもんならその嬉しさに骨抜きになってしまいます。散歩の途中出会う人すべてに撫でてもらう気でいます。だから私は非情な飼い主だと思われるのを覚悟でグングン散歩の紐を激しく引いて、できるだけ道草を食わないよう努力します。

人なつこいのはかわいい。しかし、赤の他人に見せる愛嬌が毎日愛情を注いでいる飼い主に見せるものより勝っているなんて!飼い主としては納得がいきません。
主人として、『特別の愛』がほしいものです。忠誠心を。それって独占欲か…

以前飼っていた猫は何をされても怒らない『穏やかな人なつこい猫』でした。いえ、家族の間ではそう信じられていました。あるとき叔母が我が家に来て新聞を読もうとしたところ新聞の上に猫が乗っています。猫に退いてもらおうと名前を呼んで『退いてくれ』と新聞を猫の下から引き抜こうと手をのばしたときです。今まで瞑想でもしていたかのような猫が『なにすんじゃ!おんどりゃ このボケ!』といわんばかりの剣幕で怒ったではありませんか。その姿に叔母は恐怖に縮み上がりました。我が家に泊まりに来た祖母も同じような経験をしていて『あの猫には恐ろしくて近寄れない』と言いました。


もし、猫が邪魔であれば。猫をどかす。これが我が家の当然の習慣でした。猫の腕一本つかんでひっぱろうと、抵抗するどころか引っ張られるがままのはずでした。飼い猫のニ面性を私達が知った時、私はある種の優越感を感じたものでした。我が家の猫は家族に対してのみイイコちゃんでいる気です。『なんてかわいい奴!』

人間好きのアーニーはほとんど吠えないので、本当に扱いが楽です。ときどき凄い剣幕で噛み付かんばかりに吠えている犬を見ますが、他人からしてみれば『なんてかわいくない犬』に思えます。

だがしかし、飼い主にだけ

だとしたら。
主人はその犬にとって唯一の存在ってことになるんですねぇ。
その方がロマンチックだわ…