2003年8月

アナグマくん、こんにちは

初めてアナグマなるものを見たときは、とても驚きました。しかも一度に3匹が目の前に現れたのです。
それはマウンテンバイクで牧草地帯の砂利道を走っていたときのことでした。道路の先をモニョモニョ横断しようとしている塊があります。私は目が悪いので、かなり近づくまで、それがなんであるかわかりませんでいした。
なんと、アナグマです。いきなり砂利道の真ん中でこんなものと出くわすとは。自転車を止めると、向こうの団体様も動きを止めました。3匹どうしでなにやらゴニョゴニョ言っています。ただゴニョゴニョ、ウギュウギュ言っいあって、道路のど真ん中に立ち止まっているんです。
「いったいどうしたのだろう?なぜ逃げないのだろう?」
私はふと、アナグマと似た動物にウルヴァリンというのがいたことを思い出しました。ウルヴァリンの方はとても獰猛な動物だとどこかで聞いたことがありましたが、両者とも図鑑の絵を見たことがあるだけで、実物を見たことがありませんでした。アナグマ君の脚のヒグマのような立派な爪はウエポンに見えないでもありません。(※実際は穴掘り専用)
ゴニョゴニョいっているだけだと侮って油断したら、いきなり三匹で襲い掛かってくるかも?
これ以上近づいていくのは危険だ。さてどうしよう。


そうだ!カメラで写真を撮っておこう!
カメラをバックパックから出すために自転車を降りようとした瞬間です。
私が乗っていたのはママチャリではなく、マウンテンバイクだったことを忘れていました。
脚をバイクの骨組みに絡ませて豪快に横倒しになってしまった私。
その衝撃で、ようやくゴニョゴニョ言いながら立ち止まっていた一行が動き出しました。
私が体を打って痛みにもだえている目の前を、アナグマくんたちは相変わらずモギョモギョウギュウギュ言いながら右手の茂みに消えてったのでありました。

 


どうして彼らは私と鉢合わせしても逃げなかったのでしょう。
3匹同じ大きさの固体は兄弟であったのでしょうか。
若い経験の浅い固体たちが初めて出会った人間を目の前にたじろいでいるというかんじでした。
彼らの「モギョモギョウギュウギュ」に言葉をあてはめるなら


「おい、なんかヤバいんじゃないの。」
「なんでちゃんと出て行く前に確認しなかったんだよ〜」
「ついてくるお前らだって悪いだろ!」
「どうする?」
「動くとヤバイかもよ。」
「どうするよ。」
「もうここまで来ちまったしな、戻るも進むも同じだろ」
「それじゃどうするよ。」
「そうだな、どうするかな、このままでもヤバイし、動いてもヤバそうだな」

ガシャーン(自転車の転倒音)「いたぁ・・・・」

「あ。倒れた。」
「行くべし」
「行くべし」
「行くべし」

 

ってかんじだったと思うんですよ。私の推測によるとね。