2010年3月26日

タマチャンの失踪(2009年8月のできごと)

「聞き耳頭巾がほしい」

 

タマチャンを「捜せばきっと見つかる」という希望は自分に都合の良い空想だった。
時間はどんどん経過していく。広大な野原に消えた移動物であるタマチャンを捜すことは「見つからないかもしれないが、捜す」というのが現実だった。
翌朝早くにタマチャンがいなくなった付近を捜してみる。田舎なので新聞配達は車で配達にやってくる。新聞配達車にタマチャンが轢かれることを恐れて、車の通るルートを一通りチェックする。
地面にはたくさんのアカガエルがいて、私が一歩踏み出すごとに、別の一匹が跳ねるかんじだ。
このたくさんのカエルの中の一匹くらいはタマチャンを目撃してるのではないかと思う。低空を何度も往復しているオニヤンマだってタマチャンを見ているかもしれない。「ききみみずきん」という生き物たちの話声が聞こえるようになるおとぎ話があったが、聞き耳頭巾がほしかった。タマチャンの目撃情報をカラスやトンボ、カエルたちの話声の中に聞けたら!!とバカな事を思った。

カエルのパラダイスです。