2009年11月26日

18歳のクマくん


高校生の頃ティディーベア作りに凝っていた。
雑誌に掲載されていたティディーベアの作り方がきっかけで、不器用ながら単純な型紙でそれらしいクマの縫いぐるみができあがるのが楽しかった。
毎土曜日は学校の帰りに街中の手芸店にいっては縫いぐるみ用の生地の物色ばかりしている、華のない高校生活を送っていた。そうしてたとえテスト前だろうが、夢中でクマを縫っていたのだ。
それらの縫いぐるみ達が高校時代に私が使っていた部屋に置いたままになっている中で、一体だけ大学時代や今現在、実家への帰省がてら連れて来て同居しているクマがいる。本物の子グマのような幼い雰囲気がそのクマにあって特に気に入っていた。
先日のこと。相変わらず整然としないわが部屋の片付けの最中、床に落ちたクマをきちんと座らせようと試みたのだが、クタッと崩れて頭を伏せてしまう状態であることに気づいた。
きちんと座れるように胴体の中綿を増やすことにした。
背中側から綿を詰めたのだっけ?
と背中の糸を一ヶ所プツリと切って、綿の詰め口を開こうとしたら、プツプツと胴体を縫ってあった糸がすべて千切れてしまった。18年といいう年月を経て、縫い糸がポケてしまったいたのだ。
結局胴体に関しては縫い直した。
他のパーツも大きな衝撃を与えれば胴体と同じように分解してしまう状態なのだろうが、面倒なのでそのまま縫い付けた。
17歳の私が縫い付けた頭と手足は中途半端な縫い付け方で、クマは頼りない控えめな印象だった。しかし、今回の修復でミッチリと綿を詰め直した胴体に頑丈に縫い付けられた頭や手足のおかげで、控えめだったクマが、かなり堂々と逞しい感じになってしまった。
私も17歳のときよりも、堂々とはしていなくとも逞しくはなったのだろうか。