2008年7月15日

メカニカルゴージャス


昨年のこと。
図鑑の標本を見ながら、ゴマダラカミキリを刺繍で刺してみたのだけど、なんだかゴキブリみたいになった。どこがゴキブリみたいなのだろうとよく見比べてみると、カミキリムシは肩(さや羽根の上部)が張っているのに、私はつるんとなで肩に刺してしまったのだ。
後から白い斑点を肩に刺して、少しカモフラージュしてみたけど、やっぱり肩がカッコ悪くて後々まで悔やんだ。


今年のこと。
ゴマダラカミキリは珍しくもなんともない虫だけど、幼い頃に見たきり何十年も本物を見る機会がないまま過ごしてきた。だから「らしくない」カミキリムシを刺してしまったのだろう。
先日葉に留まっているのを見つけたとき、自分の刺した刺繍がいかに本物とかけ離れているか思い知った。
図鑑の死体写真(標本写真)の印象とはまるで別人。実物生体のインパクトに驚いた。
背中は黒い漆を塗ったようにピカピカのツヤツヤ。触覚は華麗なシマシマ。脚の関節の節々は都会的な青のグラデーションがかっていて、まるで樹脂製の作り物のように鮮明だ。プラモデルみたい。
カミキリムシは、そのお顔も目が大きく、顎が大きく、とてもダイナミック。どうかそのお顔も拝ませてぇ〜と正面に回ったら、あっという間に飛び去られてしまったのだった・・・


君はずいぶん派手だったのだね。
(私の絵では鮮やかな印象の半分も表現できないのだった)