2007年6月

カネちゃん登場


以前トラちゃんという愛称の(私が勝手につけた)猫が我が家をのぞきに来ていた。
トラちゃんは飼い猫の印である首輪をつけていたが、まったく飼い猫らしからぬ眼の飛ばし方で歩いている。
肩の揺すり方が違う。態度に「剃り込み」が入っている。
そしてわが家のブチもこのトラちゃんを恐れていた。
トラちゃんが窓の向こうに顔をのぞかせると、ものすごい声を張り上げて怒っていた。


ブチがそんな虚勢を張れるのは、間にガラス窓という安全なバリアがあるからであって、
それが無ければ一目散に身を隠しに逃げてしまうんだ。
トラちゃんが窓からこちらを覗くのは、窓が開いていればちゃっかりブチの餌の残りを失敬する目的でだ。
トラちゃんは我が家を覗かなくなって一時激やせしていたのを目撃したが、
最近はすっかり栄養をチャージして、やかんのように顔をふくらませて縄張りをパトロールしている。

 

最近、そんなトラちゃんに代わってに新顔が我が家を訪れるようになった。
私は新顔の彼を勝手に「カネちゃん」と名付けた。
丸丸とオスらしい大きな顔には「カネちゃん」が似合う気がしたからだ。
このカネちゃんはアメショが入っていて器量がいい。
我が家のマムシのようなウスペライ頭のブチより断然カワイイ。
だから、腹が減って我が家を訪れるカネちゃんについつい餌をやってしまった。
カネちゃんは以前どこか近所で飼われていたらしく、両親の家に同居しに引っ越して来た娘家族が大きな室内犬を連れて戻ってきたそうだ。それでカネちゃんは家に戻れなくなったらしい。

カネちゃんとブチは仲がいい。
カネちゃんはブチの餌まで食ってしまうのだが、他人の餌まで横取りしてガッツいているカネちゃんをブチは怒るでも、怖がるでもなく、餌に夢中のカネちゃんの頭をペロリと嘗めてみたりしている。
最近は二匹仲良く縁側で座っていたり、窓を開けると電車のように連なって入ってくる。
カネちゃんは去勢手術をしている。
去勢しているのに、顔がでカイ。
カネちゃんは手もデカイ。家のマムシ君の手の1.5倍くらいある。
毛質も違っていて、カネちゃんは毛足が長くフワフワしている。
太った猫だと思っていたら、実際はマムシ君より全然細いし、軽い。
顔と手だけ太っている。
手がデカイだけあって、カネちゃんの猫パンチは迫力がある。
私は以前カネちゃんにしつこくちょっかいを出してカネちゃんの猫パンチを食らったことがあるのだが、凄い威力でたまげた。
そのビッグハンドの突っ張りで最近は我が家の網戸を何度も外し、昨日は網戸を突き破って穴を開けて出て行った。なかなかしたたかなカネちゃんだ。
そんな強烈な猫パンチを持つカネちゃんであるが、基本的におとなしい。
人間のことは怖いみたいだけど、人間に爪を立てない。
喧嘩は嫌いだ。
縄張りをパトロールするヤクザなトラちゃんに焼きを入れられて、シッポの付け根に穴を開けられてきた。追われ傷だ。
カネちゃんの傷はなかなか治らない。
私はカネちゃんが餌を夢中で食べている間にシッポの傷を手当する。
だけどカネちゃんの早食いは猛烈なスピードで、あっという間に食べ終わって
お尻をいじっている私を怒り始める。


カネちゃんは飯を夢中で食べると、食べ終わった後に鼻先が唾液で三角に濡れた状態になる。
食いしん坊の富士山マーク↓