2005年4月2〜5日

入院その4 術後

4月2日

手術の翌日、昼からさっそく流動食をはじめる。空腹なのでおなかはハッピーだが、一口一口飲み込むのに力を込めるため、食事をすること自体に疲れてしまう。ついで飲み込むたびに空気も飲み込んでいるらしく、食事の合間にスーパーげっぷを「げげげげ〜」と何度も出してしまう。それでもいつも完食。模範生だ。夜鎮痛剤が切れて何度か起きるが、前夜の苦しみを思えばそんなのもなんでもない。下あごの腫れがひどく立派な二重あごだ。

4月3日
鎮痛剤を飲んだあとはかなり調子がいい。先生は手術後すぐに普通食に切り替えられるように行っていた。看護士さんも普通に好きなものを間食するようにすすめるので、食べやすそうなものを売店に買いに行く。やわらかめのパンとアイスクリーム。パンは牛乳と一緒に飲み込み作戦だ。指先ほどの大きさのパンのかけらを口に入れ、牛乳を飲んでみる。
く!くるしい!!
パンが腫れ上がった舌と上あごの隙間を密閉して、口で息ができない!鼻で息をすればいいのだが、パニックになるとそれもできない。パンを更に小さくちぎっても結果は同じだった。アイスクリームもまったく食べられなかった。昼に三分がゆに挑戦したが、わずかなご飯粒でさえ舌と上あごの間にはさまって流れてくれないので、飲み物でブクブクして喉に流す。
これまた疲れる。生涯食事をして疲れたと思ったことなど一度もなかった。

お向かいのベッドに入院している骨皮さん(私より若いがすごくやせている)は普通食を食べているが、こんな状態の私より食事時間が長い。世間の小食さんのレベル高さに驚く、元早食いの私でした。

 

4月4日
リンパ節への転移を調べるためにMRIよりより精密とされる、PET検査を受けに他の病院にいった。
どうか良い結果が出ますように。

 

4月5日
3日にギブアップしたアイスクリームに再トライ。時間はかかったが完食。
この日体重を計る。約1週間の絶食と流動食生活にかかわらず、体重がほとんど落ちていない。
なんてエコロジーな体なのだろう。スプーン一杯のガソリンで延々と走れるタイプなのかもしれない。自分は一生痩せられない運命にあると確信。
舌の痛みはほとんどない。のどの舌につながる筋肉にやや痛み感じる。相変わらず口の中がドロドロで臭いのが気になる。歯槽膿漏になりそうだ。手術した側はぶよぶよにふやけているかんじで、傷を覆おうと張り出してる組織が薄黄色。グロテスク。

病院のベッドではときどき絵も描く、幼かった頃の愛犬。
もう一歳と半年だけど、まだまだ赤ん坊なところが可愛くて。
若いときのはちきれんばかりのパワー、年老いたときの寂しさを知っているから、
今のそれがとても眩しい。